2010年04月12日

『マナー』? 『不衛生』? 『エコ』?(その2)

兵庫県姫路市教育委員会の同市の市立小学校に対する「給食の紙パック牛乳をストロー

で飲ませるように」という“異例の指示”に関して、昨日はその原因となった一部保護者ら

からの改善要望にあった、「食事の“マナー”としてふさわしくない」、「不衛生だ」という

ことについての私見を述べた。(昨日の 「こじろう117」 参照)

今日はまず、学校側のもともとの言い分であった「環境保護(エコ)」について検証して

みたいと思う。

今や世の中空前の“エコブーム”といわれるなか、たかがストローといえどもそれなりの

数となればゴミの処理も大変であるし、また資源のムダ使いだというのも事実であろう。

しかしストローが必要かどうかの議論は、もともと牛乳を“紙パック”で提供するという

ことが前提である。かつて(少なくとも30年以上前)は給食に出される牛乳といえば、

“ビン”に入っているのがあたりまえであった。いつ頃から“ビン”から紙パック”にな

ったのかは知らないが、以前耳にしたところによるとその理由については、ビンの

場合は回収・洗浄・乾燥というプロセスのなか、より“手間”と“コスト”がかかることと、

紙パックの場合はリサイクルができるからということだった。実際にその通りかどう

かは確認していないが、それなら紙パックも無条件でリサイクルできるわけではなく、

回収時の洗浄・乾燥の手間にとどまらず、別の製品に“つくりかえる”ということから

すれば、むしろそのままの形で使える“ビン”の方がよほど手間はかからないだろう。

話はそれるが、“エコ”の関係ではほかにもいろいろとトンチンカンな例もあるようだ。

もうしばらく前のことであるが、「森林保護」の題目のもと、ある超大手企業がイメー

ジアップの目的もあり社員食堂をはじめとしてその社有の全飲食施設で“割り箸”の

使用を一斉にとりやめ、洗って使える“塗り箸”を導入したことがあった。すると、その

企業の重要取引先の一つでもある“割り箸関連の製造業者”より、その企業の営業

部門に対して、「割り箸に使われている木材はいわゆる間伐材であり、森林破壊には

関係ないどころか、むしろ森林保護に貢献しているではないか」という趣旨のクレーム

がつき、あわてた営業部門が飲食施設担当の総務部門にはたらきかけした結果、数

週間後には全社、元の“割り箸”に戻されたとのである(現在のように日本国内で使用

される“割り箸”のほとんどが中国産になる以前のことである)。このこと自体の是非

についてはともかくとして、今の世の中にはこのような「“エコ”の本質が一体どこに

あるのかわからない」例は枚挙に暇がないほどあるのではないだろうか。

環境保護やエコというのは、たしかに今や地球規模的問題として真剣に取り組まなけ

ればならないのはもちろんである。しかし、「なんでもかんでも“エコ”」というような風

潮にはいろいろと疑問の声があがっているのも事実である。“エコ”という「錦の御旗」

を振りかざしたさまざまな活動が“利権”の温床になる、つまり特定の政治勢力や企業・

団体の利益と無縁ではなくなるという問題も存在するからである。

この件について腑に落ちない最後の点は、今回3月に出たばかりの一部の保護者の

改善要望が、ひと月経つか経たないかのうちに「教育委員会からの指示」につながっ

たいうことである。教育の現場にとって、保護者の意見を積極的に吸い上げ、またさ

まざまな問題に迅速に対応することも当然必要なことであろう。しかし、いろいろ述べ

てきたようにこの問題は「こうしてください」「ハイ、すぐそのようにします」という単純

なものではないはずであるし、それほど緊急性を要するものでもないと思われる。

今回の一部の保護者らが、いわゆる「モンスター・・・」かどうかはともかくとして、とり

あえずその場をしのごうとする安易な対応だったとはいえないだろうか。今回考えら

れるいくつかの問題点をクリアする方法の一つとして、たとえば給食の牛乳はしばら

く児童らに「マイカップ」を家庭から持参させて、他のメニューであるスープ類(汁もの)

と同様な提供の仕方というのも考えられるはずである。よく検討もせずに姑息な手段

をとることで後でその“つけ”を支払わされることは先の企業の例にもある通りだ。

またこういうことこそ、大人同士の“かたい頭”だけで考えるのではなく、たとえば高

学年生に一つの「自分たちに直接関係する学習テーマ」として児童自身で考えさせ

てみるのもまさに「生きた教育」というものではないだろうか。


与えられた食料は必ず完食し、食器まで
ピカピカにすることで“エコ”に貢献し
ているつもりの!?     こじろう













  


Posted by こじろう117 at 00:09Comments(4)ペット