2010年04月09日

払拭できない 『疑念』!!!

去る6日、中国当局により麻薬密輸罪で死刑判決を受けていた邦人男性の刑が執行

された。日中国交回復以降約40年で初めてのことだという。さらに9日には同罪によ

る他の3人の邦人死刑囚の刑執行も確実視されているようでもある。

日本国内には「麻薬の密輸で死刑は重すぎる」という意見もあるが、中国にはかつて

「アヘン戦争」という極めて苦い歴史があり、麻薬犯罪には厳罰をもって臨む姿勢が

あることは当然のことといえよう。また中国国内での犯罪は中国の法律によって裁

かれる前提からしても、日本政府が本来どうこう言える筋合いではない。

実際、死刑制度が存続している数少ない先進国の一つである我が国で、昨年1年間

に7人の死刑執行がなされたなかの一人は中国人であり、しかもその際中国政府に

事前通告などしていないのである。むしろ今回中国政府が事前通告をしてきたとい

うことの方が“配慮”?があったと解すべきであろう。とはいえ、もちろん他の外交上の

かけひきに利用される可能性が大きいことも否定できないが。

我が国では裁判員制度が開始され早くも1年が経過しようとするなか、死刑制度の存

続・廃止の議論は今まで以上に高まっていくであろうが、個人的にはそのことにつ

いて現段階で見解を述べるつもりはない。まして歴史・文化・風土・習俗など大き

く異なる他国の罰則が厳しいかそうでないかにつき、勝手に言及する立場にないし、

またその資格もないだろう。

しかしそれはそれとして、今回の関連で完全に払拭することができないのが、死刑

判決に至るまでの経緯、つまり死刑囚に対して本当に公正で適正な捜査や裁判が

なされたかどうかという『疑念』である。

某週刊誌の記事によれば、たとえば今回死刑執行された男性は、最初に中国公安

当局に拘束された際の当局側の通訳が“いい加減”で、自分の話したことが誤訳され

たと以前反論している。また別の覚せい剤がらみで中国で起訴された邦人の元被告

は「(覚せい剤を)買おうと思った」と日本語で供述したのを、「買った」と断定的に通訳

されたと証言している。単なる誤訳だとしても容認できないが、そこに何らかの政治的

意図などが隠されているとしたら言語道断である。

前述のように、中国国内で厳罰とされることに手を染めたものが中国の法律に則って

処罰されることは当然であるが、犯罪者とはいえ一人の人間として正当な捜査や裁判

を受ける権利をないがしろにされることは認めることはできないだろう。

15年ほど前、リチャードギア主演の「レッドコーナー」という米国映画が上映され観賞

したことがあるが、中国国内で犯罪の濡れ衣を着せられた主人公が、極めて一方的で

反論の余地のない中国の裁判で窮地に立たされるという場面があった。もちろん映画

の中のことであり、それがそのまま現在の中国の司法の実態であるということはいえ

ないが、もしそれに類することが少しでもあればこれほど恐ろしいことはない。さらに

中国は共産党が“司法”までも司る一党独裁体制下にあるため、死刑執行ということ

さえ政治と無縁でないことも公然の事実である。内実が見えにくいなか、公正な裁判

などを受ける権利が保障されているのかという『疑念』を払拭すべく、中国側に情報

公開や手続きの透明性を求めることはどうしても必要であろう。


イタズラの濡れ衣を着せられたことを
今でも根に持っている!? こじろう







  


Posted by こじろう117 at 00:46Comments(0)ペット