2022年06月19日
困った 『バランス』???
先日、たまたまある通りを歩いているとき、すれ違った学生風の若い2人連れの
一人が発した 「し・お・く・り」 ということばが耳に入った。すれ違いざまのことな
のでその会話の脈絡は全くわからないが、おそらくそれは 「仕送り」 であろうと
推測された。そして奇妙なことにその瞬間、そのことばの 「ひびき」 から、40年
ほど前のある4コママンガの記憶が “40年ぶりに” 突然よみがえった。
それは当時人気のあったあるコミック誌に連載されていたものだった (と思う) 。
その主人公で都会で一人暮らしをする貧乏学生があるとき田舎にいる自分の母
親に 「シ・オ・ク・リ・タ・ノ・ム」 とだけの文面の電報を打ったところから始まり
(当時は携帯電話などなかったのはもちろん、固定電話を自分専用に引いてい
る学生も少なかった) 、その後に母親から (現金の入った) 封筒ではなく段
ボール箱に入った荷物が送られ開けてみると中に “塩” と “栗” が入ってい
て、主人公がそのまま 「ズッコケてしまう」 というもの。4コマしかないマンガ
なので、具体的な描写はそれだけだったが、背景としてはその貧乏学生が何
かよからぬムダ使いを企て臨時の仕送りを頼んだところ、息子の性格を知り尽
くしたその母親がその 「たくらみ」 を見抜き、わざと現金ではなく塩と栗を送
った、と推測される。現在の若者なら 「なんだそれ」 となってしまうようなクダ
ラナイ?ギャグだが、当時はそれを読んで大笑いしたくらいだから、40年とい
う年月の長さはそれ相応のものといえるかもしれず、 “電報” がまだフツウの
通信手段の一つとして用いられていた時代ならではのコメディだろう。
さて先ほども触れたようにこのマンガの内容について思い出したのは、正真
正銘約40年ぶりのこと。裏を返せば約40年間封印されていた記憶が突如
ある偶然のなにげないキッカケから、しかも鮮明によみがえったのだが、 「一
体それが自分の頭のどこに保存されていたのか」 と考えると、人間の記憶、
脳の働きというものは本当に不思議でかつ神秘的なものだと改めて感じてし
まう。
だが、それはそれで結構なこととして、困るのはそのぶん?、ごく最近起きた
出来事などについての記憶が一段と乏しくなっていることだ。それも忘れて
構わないどうでもいいことならともかく、「肝心」 なことに関してが多いので
極めて始末が悪い。脳が昔の (どうでもいいようなことの) 記憶を完全に
消さないために強引に? 「バランス」 を保ってそのぶん最近の記憶をうす
くしているのかもしれない、とも推測できるが、もし実際にその通りだとすれ
ば 「主人に無断でその脳が勝手に困ったことをしてくれている」 となる。
(2010年・11月)
幼少時の 「痛い」 記憶がいつまでも
抜けきらず、未だに 「爪切り」 を飼
い主に絶対させない!? こじろう
一人が発した 「し・お・く・り」 ということばが耳に入った。すれ違いざまのことな
のでその会話の脈絡は全くわからないが、おそらくそれは 「仕送り」 であろうと
推測された。そして奇妙なことにその瞬間、そのことばの 「ひびき」 から、40年
ほど前のある4コママンガの記憶が “40年ぶりに” 突然よみがえった。
それは当時人気のあったあるコミック誌に連載されていたものだった (と思う) 。
その主人公で都会で一人暮らしをする貧乏学生があるとき田舎にいる自分の母
親に 「シ・オ・ク・リ・タ・ノ・ム」 とだけの文面の電報を打ったところから始まり
(当時は携帯電話などなかったのはもちろん、固定電話を自分専用に引いてい
る学生も少なかった) 、その後に母親から (現金の入った) 封筒ではなく段
ボール箱に入った荷物が送られ開けてみると中に “塩” と “栗” が入ってい
て、主人公がそのまま 「ズッコケてしまう」 というもの。4コマしかないマンガ
なので、具体的な描写はそれだけだったが、背景としてはその貧乏学生が何
かよからぬムダ使いを企て臨時の仕送りを頼んだところ、息子の性格を知り尽
くしたその母親がその 「たくらみ」 を見抜き、わざと現金ではなく塩と栗を送
った、と推測される。現在の若者なら 「なんだそれ」 となってしまうようなクダ
ラナイ?ギャグだが、当時はそれを読んで大笑いしたくらいだから、40年とい
う年月の長さはそれ相応のものといえるかもしれず、 “電報” がまだフツウの
通信手段の一つとして用いられていた時代ならではのコメディだろう。
さて先ほども触れたようにこのマンガの内容について思い出したのは、正真
正銘約40年ぶりのこと。裏を返せば約40年間封印されていた記憶が突如
ある偶然のなにげないキッカケから、しかも鮮明によみがえったのだが、 「一
体それが自分の頭のどこに保存されていたのか」 と考えると、人間の記憶、
脳の働きというものは本当に不思議でかつ神秘的なものだと改めて感じてし
まう。
だが、それはそれで結構なこととして、困るのはそのぶん?、ごく最近起きた
出来事などについての記憶が一段と乏しくなっていることだ。それも忘れて
構わないどうでもいいことならともかく、「肝心」 なことに関してが多いので
極めて始末が悪い。脳が昔の (どうでもいいようなことの) 記憶を完全に
消さないために強引に? 「バランス」 を保ってそのぶん最近の記憶をうす
くしているのかもしれない、とも推測できるが、もし実際にその通りだとすれ
ば 「主人に無断でその脳が勝手に困ったことをしてくれている」 となる。
(2010年・11月)
幼少時の 「痛い」 記憶がいつまでも
抜けきらず、未だに 「爪切り」 を飼
い主に絶対させない!? こじろう