2009年12月03日
「住居侵入罪」VS「表現の自由」
先般、最高裁で一つの有罪判決が確定した。政党のビラを配るために
あるマンションに無断で立ち入ったとして、一人の僧侶が「住居侵入罪」
に問われた事件である。判決では「表現の自由にかかわる活動」よりも
「住民の私生活の平穏」を重視したということに対し、各紙の社説等で一
斉に解説・論評がなされていた。
その事件においては被告が「具体的危害」を加えたわけではなく、オート
ロックのないマンションに10分ほど立ち入って「各戸のドアポスト」に政党
のビラを「入れただけ」である。にもかかわらず現行犯逮捕されたのち、3
週間以上も身柄を拘束されたという。
このことに対して「捜査当局の『行き過ぎ』の感は否めないし、今後民間の
集合住宅へのビラ配りが厳しく制限されることにより、憲法に保障された
『表現の自由』の制限につながるだろう」と指摘する某地方紙社説の論調
も十分理解できる。つまりこのような取り締まりや捜査のあり方、および判
決によって表現の自由にかかわる活動が萎縮してしまうことへの強い懸念
である。
しかし、判決(罰金刑)そのものの妥当性や長期の身柄拘束などの問題
はともかくとしても、やはり大きなポイントの一つは「住居への”無断”立ち
入り」ということであり、そのことについては決して看過することはできない、
と個人的には考えたい。
というのも昨今、本来「外より安全なはず」の住居およびその周辺で凶悪
な犯罪に巻き込まれる事件が多発しているからである。表向き「表現の自
由」を盾にして住居内に立ち入られた後に、それが犯罪の「隠れ蓑」に使
われないという保障はないのである。
さらに今回立ち入った場所がたとえ集合住宅の「共用部分」であったとして
も、分譲マンションにとってはそれもやはり完全に「住民の私的な敷地内」で
あり、戸建て住宅の場合には無断で敷地の庭に入り込まれたのと同じ感覚、
といってもそう外れてはいまい。実際居住している住人からすれば、無断で
入ってくる人間が本当に純粋な「表現の自由」を行使しているかはわからない
し、何かあってからでは取り返しがつかない場合もある。
「自由」と「その制限」との闘いは、歴史的に見ても常に繰り返されてきたこ
とであるが、今回の件はそのテーマをさらに超えたところにあり、我が国の
慢性的ともいえる社会不安を大きく反映しているものだとも言えよう。
「番犬」として住居に立ち入るすべての人を(飼い主でさえも)
厳重に警戒する!? こじろう
あるマンションに無断で立ち入ったとして、一人の僧侶が「住居侵入罪」
に問われた事件である。判決では「表現の自由にかかわる活動」よりも
「住民の私生活の平穏」を重視したということに対し、各紙の社説等で一
斉に解説・論評がなされていた。
その事件においては被告が「具体的危害」を加えたわけではなく、オート
ロックのないマンションに10分ほど立ち入って「各戸のドアポスト」に政党
のビラを「入れただけ」である。にもかかわらず現行犯逮捕されたのち、3
週間以上も身柄を拘束されたという。
このことに対して「捜査当局の『行き過ぎ』の感は否めないし、今後民間の
集合住宅へのビラ配りが厳しく制限されることにより、憲法に保障された
『表現の自由』の制限につながるだろう」と指摘する某地方紙社説の論調
も十分理解できる。つまりこのような取り締まりや捜査のあり方、および判
決によって表現の自由にかかわる活動が萎縮してしまうことへの強い懸念
である。
しかし、判決(罰金刑)そのものの妥当性や長期の身柄拘束などの問題
はともかくとしても、やはり大きなポイントの一つは「住居への”無断”立ち
入り」ということであり、そのことについては決して看過することはできない、
と個人的には考えたい。
というのも昨今、本来「外より安全なはず」の住居およびその周辺で凶悪
な犯罪に巻き込まれる事件が多発しているからである。表向き「表現の自
由」を盾にして住居内に立ち入られた後に、それが犯罪の「隠れ蓑」に使
われないという保障はないのである。
さらに今回立ち入った場所がたとえ集合住宅の「共用部分」であったとして
も、分譲マンションにとってはそれもやはり完全に「住民の私的な敷地内」で
あり、戸建て住宅の場合には無断で敷地の庭に入り込まれたのと同じ感覚、
といってもそう外れてはいまい。実際居住している住人からすれば、無断で
入ってくる人間が本当に純粋な「表現の自由」を行使しているかはわからない
し、何かあってからでは取り返しがつかない場合もある。
「自由」と「その制限」との闘いは、歴史的に見ても常に繰り返されてきたこ
とであるが、今回の件はそのテーマをさらに超えたところにあり、我が国の
慢性的ともいえる社会不安を大きく反映しているものだとも言えよう。
「番犬」として住居に立ち入るすべての人を(飼い主でさえも)
厳重に警戒する!? こじろう