こじろう１１７

「どういったものにどのような価値を見出すか」　は人それぞれ。

ある人にとっての　「宝物」　も別の人には　「ガラクタ」　にしか見え

ない、ということがよくあるが、そこで昨日の某紙　「メルカリに甲子

園の土が大量出品　『ただの砂』　『金欠なので』　」　というタイトル

の記事の内容は、


・・・・・・・せめて土だけでも──夏の甲子園が中止となり夢を絶たれ

　　　　　た高校球児たちを励ますため、阪神タイガースが全国の高

　　　　　校野球部員　（女子部員も含む3年生）　約5万人に　「甲子

　　　　　園の土」　が入ったキーホルダーを贈った。

　　　　　そのプライスレスな土が今　“商品”　として売られている。

　　　　　「フリーマーケットアプリ　『メルカリ』　に大量に出品されて

　　　　　いるんです。5000円前後の価格で出品されているものが

　　　　　多く、中には1万円を超えるものも。すでに売買が成立して

　　　　　いるものもたくさんあります」　（メルカリユーザーの1人）

　　　　　「甲子園の土」といえば出場選手たちが敗退後、泣きなが

　　　　　らかき集めて持ち帰る光景が人々の心を打ってきた。球児

　　　　　自ら売りに出すとは、にわかには信じがたいのだが……。

　　　　　4000円で売り出した出品者の1人に話を聞くと、こう淡々と

　　　　　明かした。

　　　　　「クラスメイトの野球部員から　『これ、いる？　いらないか

　　　　　ら好きにして』　と言われてもらったんです。僕自身は野球

　　　　　をやっているわけではないので、何も感じません」

　　　　　他にも出品者のコメント欄を見ると　〈私にとっては　「ただ

　　　　　の砂」　なので売ります〉　〈金欠なので〉　〈甲子園に行け

　　　　　たわけじゃないので〉　などと書かれていた。なかには　〈と

　　　　　てもレアです〉　と購買欲を煽るものも。

　　　　　1988年夏の甲子園で福岡第一をエースとして準優勝に導

　　　　　きプロではロッテなどで活躍した前田幸長氏　（50）　も嘆く。

　　　　　「僕は春の甲子園で敗退したとき　『夏にもう一度甲子園に

　　　　　来るぞ』　と思い、あえて土を持って帰らなかった。夏の甲

　　　　　子園では準優勝が決まった後、マウンドの土を持って帰り

　　　　　ましたが、その土は2つに分けて実家と自宅両方に置いて

　　　　　います。それほど価値のあるものです」

　　　　　ある高校野球関係者は実情をこう語る。

　　　　　「イマドキの高校球児はこんなもんですよ。甲子園を真剣

　　　　　に目指していた児でも　『土は要らない』　と平気で言いま

　　　　　すから」

　　　　　半沢直樹なら　「　“土”　下座しろ」　と凄むだろうか・・・・・

　　　　　・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


というものである。

「甲子園大会に出場したからこそ価値がある。そうでなければただ

の砂　（土）　」　と言えばそれまでだが、いずれにせよ　「売る」　側

はまだしも、それなりの金額でそれを　「買う」　側の心理はなんと

も理解し難い。

そういえば２０年ほど前、ドイツを旅した際のこと。とあるストリート

の怪しげな売店で　「ベルリンの壁の破片」　と書かれたビニール

に入ったモノを土産として購入しているオッサンがいたが、　「あん

なの本当のベルリンの壁の破片かどうかわからない。どこかの工

事現場で拾ったような単なるコンクリートの破片にすぎないかもし

れないのに・・・」　と陰口を叩かれていたのを目にしたおぼえがあ

る。かわいそうなのはそれを　「土産」　として　（ありがとうございま

す、と言って）　受け取らざるを得ない人・・・の方だ。


飼い主からの　「土産」　はこれまで
ロクなものがなかった、と言いたい
！？　　　　　　　　　　　　　　こじろう