「こじろう117」・・・
『新?香典返し詐欺』!!!(その1)・・・の続きである。
(その1) では千葉県の消防士が、ある斎場で行われていた通夜に、弔問客を装って実際
は1円玉しか入っていない香典袋 (6袋) を受付に渡し、「香典返し」 として計1万円余り
の現金をだまし取ろうとした新しい?詐欺事件を紹介した。
この詐欺を企んだI容疑者。犯罪行為に手を染めたことはもちろん許されないが、その手口
はなかなか斬新?で、「冠婚葬祭の盲点ともいうべきところを上手く突いたもの」 ということ
は否定できない。だが、そのなかで生ずる疑問や納得いかない点もいくつかある。
まず第一に、「せっかく 『香典返し』 を受け取るところまで成功したのに、なぜその後わざ
わざ疑われるような行動をとったのか」 つまり 「他の弔問客と同じように焼香など普通に
していれば怪しまれる可能性はより小さかったのでは」 という点である。
これについては、一般的に犯罪者の心理である 「その現場から一刻も早く (逃げ) 去り
たい」 というものによるのではないかと推測されよう。たしかに今回、怪しまれた直接の要
因は焼香をせずにそのまま去ろうとしたことのようだが、さりとて、のんびり?焼香をしてい
る間に香典袋の中身を確認されないとも限らない。I容疑者が実際にどういうつもりだったか
は不明であるが、この点で 「しばらくその場に残って行動の不自然さをなくすか」 「一刻も
早くその場を去ってしまうか」 のどちらがベターかは一概に言えず、その時の “運” にも
左右される 「一種の賭け」 といえたかもしれない。
第二の疑問は、香典袋の中に 「1円玉のみ」 を入れておいたことである。これはその香典
返しの方式?により、「意味がある、ない」 がハッキリしてしまう。まず、その (香典返しの)
の額が香典の額にかかわらず “一律” 、つまり同額となっていた場合であるが、その際に
は、たとえ1円であっても、「 『香典』 を渡したことには変わりない」 すなわちその香典返し
を受け取る権利?、理由が一応は存在することになる。もっともI容疑者がそこまで考えてそ
うした (1円玉を入れておいた) かどうかは全くわからないし、それにしても世間的には、認
められる話でないことは明らかであるが。
また、のし袋の裏面や中袋に書かれた香典の金額に対し、たとえばその “半額” を香典返
しとするような場合は、中身との整合性がなくなるのでまったく意味をなさないこととなり、こ
れは最初から明らかに 「だます」 という意図が読み取られてしまうものとなる。
昨今は特に都市部においては、専門の葬祭センターなどでの法事が一般?であり、受付に
限らず随所にいわゆるプロの目が光っている可能性が高いとはいえ、今回のようなケースに
おいてこういう詐欺行為につながる 「怪しさ」 を事前に察知したり、見抜くことができるのか
どうか、また仮に 「怪しい」 と思ったとしても即座に声をかける、あるいはさらには取り押さ
えるというような具体的行動に移せるのかどうかを考えた時、それはかなり難しいと推測さ
れるだろう。
以上の検討等を踏まえて結論を急げば、今回のI容疑者による 「新?香典返し詐欺」 の類
は、一旦 「香典返しの現金を手に入れる」 という第一段階における成功確率は高いものが
予想される。だが 「その後、そのままプロ (葬祭センターのスタッフなど) の目をすり抜け
て、その場を無事?去る」 という第二段階では、相当の難関が待ち構えているといえる。さ
らには香典袋がそのまま置いていかれることや、犯人の容貌がそれなりの人数に直接認識
されるなど、その犯罪の “証拠” となるべきものが多く残されるというリスクも高い。したが
ってアイディアそのものは高評価?の対象となっても、実行に移した際の最終的な成功率に
高いものは期待できそうにない。しかも、今回のI容疑者の詐欺行為が仮に成功していたとし
ても、それで得られる収穫?はせいぜい1万円余りであり、「冒したリスクに見合うだけの
もの」 とはお世辞にもいえないのだ。
今回の報道で事件のことを知り、「自分もやってみよう」 という模倣犯予備軍が、浅はかな
行動に出て、このI容疑者の二の舞にならないことを祈りたいものである。
イタズラをした直後、「一刻も早くその場
から逃げ去りたい」 という雰囲気を隠せ
ない!? こじろう